温室効果と地球温暖化について考える。

温室効果と地球温暖化

地表付近の気温は、日射エネルギーと地球から宇宙へ出ていく熱とのバランスで決まる。太陽光により地表が温められる一方、温められた地表から熱(赤外線)が放射され冷えて行くのである。仮に、熱のやりとりがこれだけならば、地表への日射が途切れたとたんに、熱を放射するのみとなり、急激に地表は冷えていくはずである。しかし、大気中には熱(赤外線)を吸収する気体があるために、地表から放出される熱(赤外線)のうちの何割かを吸収して大気は温まるのだ。こうして温められた大気は、再び赤外線を宇宙空間や地表に向かって放射し地表を温める。すると、地表付近の気温は、全地球平均で15度前後に保たれ、人間や動植物にとって住みよい環境になっているのである。

 地表が太陽光による加熱以上に温められることを「温室効果」といい、大気中で赤外線を吸収する気体を「温室効果ガス」と呼ぶ。もし、温室効果ガスがなかったとすると、地球の気温は30℃以上低くなってマイナス18度以下くらいになってしまうと言われている。

図1 温室効果のメカニズム



しかし、18世紀末の産業革命以降、産業活動の拡大に伴って温室効果ガス(主に二酸化炭素)の排出量が飛躍的に増えていった(図2)。

 また、産業革命以前は、まったく存在していなかったフロン、六フッ化硫黄などの人工的な温室効果ガスも排出されるようになった。これらの温室効果ガスが増えると今までのバランスが崩れ、大気中や地表にとどまる熱が多くなり(温室効果が強まり)、地表付近の気温が上昇してしまう。この現象を地球温暖化と言うのである。

二酸化炭素

 二酸化炭素は、著しく増加している温室効果ガスで、その多くが石炭や石油、天然ガスなどの化石燃料の燃焼により発生している。産業革命以前の濃度は、約280ppmvであったのに対し、1994年には358ppmv(約1.3倍)に達している。このまま対策が現状程度で実施されていったとしても、2050年には、500ppmv、2100年には700ppmv、その後も数世紀にわたり増え続けると予想されているといった有様である。

 この温室効果ガスの半分以上を占めており(図2)、その代表選手とも言える二酸化炭素が、このまま自然のバランスをはるかに超えたレベルでの人為的排出によって増加し続ければ、温室効果はさらに高まっていくことは想像に難くない。

 これが二酸化炭素の増加が急激な温暖化をもたらすとする根拠である。

図2 大気中の二酸化炭素濃度と温室効果ガスの温暖化への寄与度

大気中の二酸化炭素濃度 人間活動に伴って排出される温室効果ガスの地球温暖化への寄与率(1992年)


二酸化炭素よりも温室効果を助長する物質の存在

すっかり温室効果ガスの代表として悪者にされてしまっている感のある二酸化炭素ではあるが、これ以上に地球温暖化に加担している物質があるとする説も存在している。その物質が煤(すす)だ。

煤は、燃料やゴミの不完全燃焼によって生じる。山火事も煤を発生させるし、石炭を使用する火力発電所、木炭ストーブ、ディーゼルエンジン、ゴミ焼却炉も同様だ。米航空大気局(NAAA)とスクリップス海洋学研究所からなる研究チームは、熱帯地方の強い日光が、汚染された大気中にある煤を熱することを発見した。この熱が、汚染源から風下数百キロメートルの範囲にわたって、薄い積雲の広がりを消滅させてしまうというのだ。

 この結果、日光を宇宙に反射させる雲の遮蔽が少なくなり、地表や地表近くの大気に到達する太陽エネルギーが増大する。これが大気や海洋を著しく熱することになる。研究チームは『サイエンス』誌でこのように報告したのである。

 この研究論文を主としてまとめた、カリフォルニア州シリコンバレーにある米航空宇宙局(NASA)エイムズ研究所の科学者、アンディ・アカーマンは、「大気中の煙霧状の汚染物質は、天候と特定の汚染成分によって、雲量を増減させることになる」と述べている。

 研究チームは、インド洋の広い地域を覆う暗い煙霧の実際の測定値を使い、これを熱帯の雲を精巧にシミュレートするコンピューター・モデルに入力した。その結果、煙霧状の煤が雲を熱して消滅させる効果は、大気中の二酸化炭素の増加による19世紀以降の温暖化効果の地球上の平均値を大幅に上回っていることが明らかになったのである。

 新しく発見された雲の消滅効果の原因となるのは、汚染物質の中の煤成分のみだ。煙霧状微粒子と雲と気候の相互作用に関して以前に行なわれた研究では、大気中の汚染物質の他の成分に焦点があてられていた。これらの成分は、雲量を増加させ、温暖化とは逆の作用があることが明らかにされている。これは、水溶性の微粒子が増えると、雲を形成するより多くの、そしてより小さな水滴を作り出すためだ。こういった水滴は、より効果的に日光を反射し、雨にもなりにくい。

 研究チームによれば、煤が雲を消滅させる効果は熱帯に特有のことではないという。米国の大西洋岸などの汚染された大気中では、熱帯地方に匹敵する量の煤が測定されている。

 一方で、スクリップス海洋学研究所内の『雲・化学物質・気候センター』(C4: Center for Clouds, Chemistry, and Climate)のV・ラマナサンとS・K・サシーシュは、『ネイチャー』誌に発表した論文で、南アジアで生じた煤の粒子は、大量の日光を吸収し、大気中の温度を上昇させていると述べている。

 『ネイチャー』に論文を発表した両氏によれば、大気中の煤粒子が引き起こす作用は、当該地域の気候にさまざまな影響をおよぼす可能性があるという。自然界の水循環を遅らせたり、雲という覆いを破壊したりするというのだ。両氏は、硫酸塩、硝酸塩、有機化合物、灰といったその他の大気中の煙霧状粒子に関しても研究を行なったが、日光の吸収は主として、燃焼によって生じる煤によるものだったというのだ。

 もちろん、これらの研究はまだ中途のものであり、更なる考察が必要ではあるようだ。しかしながら、単純に二酸化炭素が大部分の地球温暖化に関わっているのだと考えるにはまだ早計であるということを示唆した意味で、これらの研究結果は重要であると考える。

南北問題における京都議定書による国際的取組みについて

有効性

なんといっても排出権取引という概念が設けられたことであると考える。仕組み、ルール、ガイドライン等は条約の締約国会議で設定した上で認められるということだ。発展途上国と呼ばれる国々の二酸化炭素排出量は、先進国のそれと比較しても非常に少ないことは明白であり。それらの国々においては、何よりも不足しているものが外貨をはじめとする資本でありこれが発展を妨げていることは言うまでもない。

 しかもそのような国々は現状ではその資本を一次産品輸出や先進国からのODA、そしてIMF(国際通貨基金)に依存することが多いが、一次産品輸出は不確定要素が強いし、ODAは依然として「ひも付き支援」が絶えない。また、IMFが融資をする条件として要求する緊縮政策がかえって国内経済を混乱させることがあったりと、発展途上国にとっては厳しい状態が続いているのが現状である。

よって、排出量が少ないということを利用して余った排出権を他国に売却するという、公平な取引での形で資本が手に入るというチャンスを本格的に実現させたこの取り決めの有用性は非常に高いと考えられる。これによって、発展途上国が少しでも自立した資本を手に入れ、その発展が図られることで南北問題の緩和につながればそれはとても幸福なことである。

問題点

 何よりもアメリカの離脱である。言ってみれば横綱欠場の相撲といった感じが拭えないのがこの取り決めである。莫大な排出量を持つこの国の離脱は、取り決め全体の有用性を大きく損なうことであろう。

 また、排出量を国際的に監視するシステムがないうえに、現実問題としてそれを厳密に取り締まるという行為は物理的に事実上不可能であるというのも問題である。実際、現状では「ごまかした者ほど得をする」という実態が発生しているようだ。これは排出権売買などカネの絡む機会が多々発生すると考えられ、事態が複雑化する前に何らかの対策をとるべきであると私は考える。

 しかも、この取り決めが行われるまでは現在の先進国と呼ばれる国々が、人為的に発生する温室効果ガスの大半を発生させながら経済発展を果たしてきたのにも関わらず、これからは同様のことを途上国は行えなくなる。これはどう考えても不公平極まりない。個人的な考えではあるが、あるレベルまでは経済発展と温室効果ガスの排出とは比例すると私は考えているので、極端に言い換えればこれは、途上国に対して「一生貧乏でいろ」と宣告しているにかなり近いものになるのではなかろうか。当然途上国にとってはこの取り決めは許容しがたいものとなっているのは事実であり、これ自体が逆に南北問題を助長してしまう感があることは言うまでもない。

まとめ

 いずれにせよ、地球温暖化の問題は原因物質などが越境して地球全体へと拡散してしまう以上、一国のみの努力ではどうしようもない問題である。よって、この問題は各国間が手を取り合って解決へと向かわなければならない。

 問題は、うまく手を取り合えるかということであるが、そのためには各国間が公平な立場に立つという環境が必要であろう。言葉で言ってしまえば簡単だが、その環境の実現は困難を極めることであろう。しかしながら、そうした障害を克服してでも地球温暖化は抑えなければ我々人類の行く末も見えているのではないか。つくづくそう感じた。


[参考資料]

どうなる地球?どうする21世紀?(旧・環境庁)

エンバイロンメント・ニュースサービス

「温暖化効果は二酸化炭素よりも煤のほうが高い」

http://www.hotwired.co.jp/news/news/technology/story/20000518308.html

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