ナルコレプシー


ナルコレプシーとは?

ナルコレプシーは、日本語で言えば「居眠り病」といわれる、睡眠障害の一つです。ナルコレプシーの最も顕著で基本的な症状は、昼間に耐え難い強い眠気がくりかえしておこり、何処でもどんなシチュエーションでも眠ってしまう病気です

通常は10分から20分寝ればスッキリしますが、2、3時間経過すると再び睡魔に襲われます。

健康な人なら絶対に眠る事のない、会議やスポーツの試合中などでも数分間眠ってしまうという症例もあります。

日本では症例が少ないため「怠けている」「たるんでいる」などと見なされることが多く、社会生活に大きな支障をきたします。

現時点ではまだ根治的な治療法は見つかっていませんが、正しい診断と適切な治療を受けることによりほぼ普通の日常生活が可能になります。

ナルコレプシーの診断基準

ICSD(Inernational Classification Sleep Disorders)の診断基準(いづれか1つに該当)

(1)narcolepsy-cataplexy:昼間の過度の眠気と居眠りに加えて情動性脱力発作がみられること

(2)narcolepsy without cataplexy:情動的脱力発作がなくとも、過度の眠気に加えて睡眠ポリグラフ検査や睡眠潜時反復検査でSOREMPが2回以上みられるか、オレキシン低値である

(注) 情動性脱力発作:突然起こる可逆性の全身、または体の一部分に限局する筋トーヌスの低下、ないしは消失を特徴とする症状。脱力発作の持続は2〜3秒から数分以内であり、発作からの回復は速やかで患者は脱力から完全に回復する。 SOREMP(sleep onset REM period):夜間睡眠ポリグラフ検査で入眠潜時が15分以内に現れる。健常者では入眠開始から60〜90分経過した後に初めて現れる

更にナルコレプシーを詳しく見てみると…

ナルコレプシーの病因としてオレキシンという物質の欠乏が明らかになっています。オレキシンは脳の視床下部から分泌される神経伝達物質の一つで、1998年に桜井武(現・金沢大学大学院医学系研究科教授)と柳沢正史(テキサス大学サウスウェスタン医学センター教授)らのグループによって発見されました。

また、ナルコレプシーの罹患率は1万人あたり3〜18人、発病年齢は10才台で特に中学・高校生の頃に集中していることが明らかになっております。



患者の方への思いやり

ナルコレプシーを患っている患者に対しては過度の励ましなどは厳禁です。かえってストレスになってしまい、鬱病などを併発する危険性があります。また、被害妄想に満ちてしまっていることが多いので、患者の言動に一喜一憂しないことが重要です。 居眠りをしてしまうこともありますが、それは病気のせいであって、患者が好きでやっていることではない、ということに周囲は理解を示すことが重要です。

ナルコレプシーの治療薬

ナルコレプシーの治療薬としては現在、モディオダールとリタリンとベタナミンいうクスリが我が国では承認されています。

いずれも脳の神経に興奮的に働いて、眠気を抑えるといったメカニズムで効くタイプのクスリです。

ただし、リタリンは2007年10月に乱用が問題となり、それまで投与が可能だった鬱病には投与できなくなった上、2008年からは流通管理が厳しく行われることとなり、登録された医師しか処方できなくなりました。

私の場合のナルコレプシーの症状

私もナルコレプシー患者です。自覚症状が現れたのは2007年12月頃。27歳の冬でした。

仕事の現場でのこぎりを引いたいたところ、そのまま眠ってしまい、周りには死んでいるのではと思われ、救急車が呼ばれる大ごとになりました。

健康な人ならばのこぎりを引くという危険な作業中には居眠りはしないでしょう。このあたりから自覚症状が出てきました。

そして診断が確定したのが2008年2月。階段を下りていたところ、猛烈な眠気を催し、階段から転落しました。

これは危険だと、主治医の元にすぐに行きました。そして各種検査の結果、ナルコレプシーの診断が確定。リタリンを処方されました。

ナルコレプシーは難病の一つですが、規則正しい生活と服薬を続ければ、症状は薄れてくると言われています。私も諦めずに治療しようと思っています。

患者の方への思いやり




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