リフレックス



リフレックス
成分(一般名) : ミルタザピン

リフレックスの効能

うつ病・うつ状態。
パニック障害。
強迫性障害。
社会不安障害

応用:摂食障害、過食嘔吐、月経前不快気分障害など




リフレックスの概要

2009年になって、日本の厚生労働省によって、久しぶりに認可された抗うつ剤がリフレックスです。とはいえ、リフレックスは革新的なクスリかと言えば、特にそう言うわけでもありません。リフレックスは国際的には、1994年にオランダで誕生したクスリで、日本で認可されるまでに15年のタイムラグがあった。ただそれだけの話です。

確かにリフレックスには従来の抗うつ剤とはちょっと違った作用機序があります。その特徴的な作用メカニズムから、「ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬(Noradrenergic and Specific Serotonergic Antidepressant)」と呼ばれています。リフレックスを分類した時のカテゴリの通称はこの頭文字をとったNaSSAです。

リフレックス以前の従来の抗うつ剤は、元気の素とも言いましょうか、セロトニンやノルアドレナリンといった脳内物質の取り込みをブロックしてしまって、 セロトニン・ノルアドレナリンが足りない!という状態に脳内を至らしめ、無理矢理セロトニン・ノルアドレナリンの放出量を増やして、神経の働く状態を良くするという作用を持っています。

しかし、リフレックスの場合は、セロトニン・ノルアドレナリンの放出をブロックすることにより、脳内に「セロトニン・ノルアドレナリン不足警報」を出させてノルアドレナリンを無理矢理増やす作用(ここまでは従来と同じです)に加えて、「セロトニン放出推進」、つまりはブロックすることで脳内に危険信号を発出して、無理矢理出させるのではなくて、直接セロトニンを放出する部分に働きかけてセロトニンを出させるという作用が加えられたのが特徴です。

しかしながら、リフレックスの化学式を見ると、それは従来からあった「四環系抗うつ剤」のテトラミドに毛が生えた程度です。冒頭であまり革新的ではないというニュアンスの内容を書いたのは、こういう理由からです。

ただし、リフレックスの登場によって、抗うつ剤の選択肢が広がったことは、大いに評価すべきことです。数年前に我が国でパキシルなどのSSRIと呼ばれる新しい作用機序をもった抗うつ剤は期待されて発売されましたが、副作用が少ないという垂れ込みで医師が安易に処方した結果、実は服用者の奇行を生む(まあ、抗うつ剤が必要でない人にも処方されてしまったのが大きいところでしょう)など、さらに病を悪化させるような結果が実際に発現していまい、全国紙に載り、「抗うつ剤=危険」という図式があからさまのように報じられる事態になってしまったことは、あまりにも残念なことでしたので。

さて、リフレックスが我が国で処方されるようになってから、それなりの時間が経過しましたが、評判の方はと言いますと…。

リフレックスは、効果もかなり強い上に、即効性に優れているようです。ただし、リフレックスはテトラミドを改良した抗うつ剤であると前述いたしましたが、 テトラミドは、とにもかくにも服用後に眠くなると言う弱点があり、日中の眠気のために社会生活に問題をきたしてしまうと言う問題点がありました。当然、リフレックスはテトラミドのリファイン版ということで、「眠いのだろう」という懸念があったのですが、 まさにその通り、服用後に眠気を訴える患者がかなり多いようです。

ただし、薬の効果はかなり強いので、眠気が気にならない患者に取っては「寝て治せる」抗うつ剤として、それなりの評価を得ているようです。



リフレックスの副作用

リフレックスは太る薬であるという話を耳にします。確かに一理あるようです。リフレックスをはじめとする抗うつ剤には、ヒスタミンをブロックする作用が認められます。 ヒスタミンは食欲を抑える働きがありますから、それがブロックされれば、どうしても食欲が増し、食べ過ぎてしまい、結果的に体重が増加してしまうと言うわけです。 抗うつ剤を服用してる分にはある程度太るというのはやむを得ない部分もありますが、リフレックスの抗ヒスタミン作用は、抗うつ剤の中でもずば抜けて高い部類に入ります。 これに加えて、もう一つのリフレックスの顕著な副作用である眠気に堪えかねてゴロゴロした生活などをしていたら、尚更太ってしまっても仕方のないことです。

しかし、古いタイプの抗うつ剤である「三環系」にありがちだった、「立ちくらみがする」、 「尿が出にくくなる」、「手が震える」、「便秘」 などといった副作用はかなり軽減されているといわれます。ですから、体重増加と、眠気の問題をクリア出来れば長期の服用がしやすいことはメリットです。

また、リフレックスは、妊婦に投与した場合の胎児へのリスクが高いという結果が出ています。妊婦が服用する場合には注意が必要かも知れません。




戻る