テシプールの効能
うつ病・うつ状態。
テシプールの用法用量
1日3mgを初期用量とし、1日6mgまで漸増し、分割経口服用する。なお、年齢、症状により適宜増減する。
テシプールの概要
テトラミドという抗うつ剤があります。1983年に日本で認可された、「四環系抗うつ薬」とカテゴライズされる抗うつ薬です。テシプールは、このテトラミドの姉妹薬と言っても良いでしょう。テトラミドをベースとして開発された四環系抗うつ剤、それがテシプールなのです。
テトラミドには従来の抗うつ剤とはちょっと違った作用順序がありました。従来の三環系と呼ばれる抗うつ剤は、元気の素とも言える、セロトニンやノルアドレナリンといった脳内物質の取り込みをブロックしてしまって、 セロトニン・ノルアドレナリンが足りない!という状態に脳内を総体的に至らしめ、セロトニン・ノルアドレナリンの放出量を増やして、神経の働く状態を良くするという作用を持っているのでした。
しかし、テトラミドの場合は、ノルアドレナリンが適量出ているかを感知し、ノルアドレナリンが結びつく穴である、αノルアドレナリン受容体というセンサーを塞いでしまい、脳内にノルアドレナリンが足りないと勘違いを起こさせ、更にノルアドレナリンを放出させるという作用があり、テトラミドはこれで鬱状態を緩和しようという作用の仕方をしています。もちろんテシプールもこれを踏襲しています。
この、αノルアドレナリン受容体への作用をテトラミドよりも強化した抗うつ剤、それがまさにテシプールなのです。
テシプールは、第二世代の四環系抗うつ剤と呼ばれ、そしてテトラミドを踏襲していますので、古いタイプの抗うつ剤である「三環系」にありがちだった、「立ちくらみがする」、 「尿が出にくくなる」、「手が震える」、「便秘」 などといった副作用がかなり軽減されているといわれます。
また、2〜3週間、服用し続けてなければ効果が出ないといわれるテトラミドよりも古いタイプの「三環系」 と呼ばれる抗うつ剤よりも、抗うつ効果の発現がテシプールの場合は比較的早いようです。
しかし副作用が少ない分だけか、テシプールの抗うつ効果は若干劣るモノがあるという話をチラホラ耳にします。 これはテシプールをはじめとする四環系抗うつ剤の弱点の一つです。
言い換えてしまえば、軽程度のうつ病に対してマイルドに効くと言うことでしょうか。
テシプールの副作用
前述のように、テトラミドの副作用はかなり少ないのですが、人によっては、眠気、口の渇き、立ちくらみ、 便秘などが発現する可能性もあります。
特に、テシプールの前身であるテトラミドは眠気の強い抗うつ剤として今に至っても有名なのですが、テシプールは、さらに眠気が強く出る抗うつ剤に仕上がっています。
そのあまりの眠気の強さから、テシプールは欧米では抗うつ剤として承認されていません。ところが何故かテシプール。世界中で日本だけで発売されているのです。
テシプールへの私見
私がテシプールを飲んだ感想としては…とにかく眠くなってしまいました。何の説明も受けていないでテシプールを服用した方は、「これは睡眠薬ではないのか?」と勘違いしてしまうこともあるだろうなと思いました。
しかしながら、テシプールの持つ副作用である「眠気」を利用して、不眠を訴える鬱患者に、このテシプールはまれにですが処方されることがあります。
敢えて「まれに」と書いたのですが、とにもかくにもこのテシプールはかなりマイナーな抗うつ剤なのです。こちらからリクエストを医師に対してしない限り、処方されることは非常にまれなことだと思います。そのくらいマイナーな抗うつ薬なのです。
ちなみに、このテシプールを始めとする抗うつ剤は、憂鬱な気分を和らげる助けをしますが、根本的にうつ病を治すという力は持っていません。
よって、症状が落ち着いてきてから、周りの環境などを調整したり、規則正しい生活リズムを構築するなどして 自分にとって過ごしやすい環境を整備していくことが治療上では大切だと思います。
最後に、テシプールの大きな特徴といえるのは、「寝て治せること」だと思います。精神神経面の治療は、薬物療法や認知療法も大事ですが、それよりも何よりも、「休息」が大事なのです。もちろんテシプールには抗うつ作用もありますが、それ以上に、この「寝て治せる」ことがテシプールの特徴であることは間違いないでしょう。