薬物依存症

薬物依存症とは?

近年、薬物依存に苦しむ方が増えてきています。覚醒剤で何度も逮捕されたり処方薬への依存により奇行を起こしてしまう芸能人、そして輝かしい実績を残した元プロ野球選手までもが覚醒剤で逮捕と言った事態まで起こり、世間を騒がせていますが、覚醒剤や処方薬だけでは無く危険ドラッグの問題などと相まって、薬物依存は社会的に大きな問題になってきています。ここでは、薬物依存について考えてみたいと思います。



薬物依存症の原因

薬物依存とは、あらゆる薬物への依存を含み、覚醒剤、大麻などの違法薬物をはじめとし、向精神薬などの処方薬や市販薬さらにはアルコールへの依存をも含まれると考えられています。 違法薬でも合法薬でも、精神依存や身体依存など依存の本質は同様であり、次第に使用量が増えていき(耐性の形成)、多くの社会問題を引き起こしていきます。 一番の問題は、依存症にかかると自分の意志で薬物の使用をコントロールすることが不可能になるため、違法薬物に「絶対ダメ」や厳罰化と言った現状の対応が、完全に後手に回っているという問題があります。 ですから冒頭に述べましたような、何度も逮捕される芸能人のようなケースが起こってしまうわけです。

うつと薬物依存症

薬物依存に対する対応が後手に回っている例は様々あり、例えばアルコール依存症で入院治療したのに、退院した頃には処方薬に依存してしまったと言ったまさに本末転倒と言ったことが実際に起こっています。 アルコール依存症患者は、不眠やうつ状態を引き起こしやすいので、それを改善する意味で睡眠薬や安定剤などが処方されるわけですが、使用する薬を慎重に管理できないと、こういった事態が起こってしまうわけです。

特に最近では、薬物依存でも処方薬への依存は問題になっています。うつ病に処方されるベンゾジアゼピン系の薬物(デパスなどの抗不安薬やハルシオンなどの睡眠薬)の多様化、リタリンなどの覚醒系薬物への依存が問題で、 これらは精神科以外の医療機関でも処方されるケースもありますし、表向きには依存性は少ないとアナウンスされている薬物でも、依存性にかかった人間と言うものは少しの薬物でも体が反応してしまうため、治療のためには完全断薬が 求められますが、薬物依存患者には何らかの薬物が処方されていると言った現状があります。アルコール依存症患者がアルコールを口にしながら回復すると言ったことがあり得ないのと一緒なわけです。 依存症からの回復のためには、アルコールの他、あらゆる薬物を使用しない、断薬といった考え方が要求されるのですが、なかなかこれを実践できる環境が少ないといった現状があります。



薬物依存症の症状

薬物依存患者がしばしば行ってしまう行為の一つにオーバードーズがあります。オーバードーズとはどう言った物なのでしょうか。

オーバードーズとは薬品やドラッグを、多量または集中的に摂取することで、薬の説明書の読み間違いなどで起こる場合も含みますが、一般的には薬物依存のよるものであったり 自傷行為、現実逃避などを目的に処方薬を処方量を超え、大量に摂取することを言います。

オーバードーズが自殺企図によるものなのか、薬物依存によるものなのかと言った区別は難しいもので、何らかのストレス、空虚感、絶望感を抱きながら、行為に至りそれが次第に悪循環になるという自傷行為として考えることもできます。 オーバードーズによって内蔵の機能低下、記憶障害、幻覚、幻聴など身体症状と精神症状とをもたらし、薬物依存をさらに深刻化させてしまうだけではなく、その後に後遺症を残す結果にもなりかねません。

薬物依存症の治療と回復

薬物依存の根本的の治療法は「やめ続ける」しかありません。薬物依存からの回復に薬物を使うと言った本末転倒な解決法を取らずに、薬物依存からの回復を目指す手段として、 薬物によって大さな問題を抱えた仲間同士が薬物を使用する中で起こったことの体験談などを通してその経験などを語り合う「ミーティング」と言った手法を用いることが効果的であるとされています。 薬物依存症からの回復を目指す自助グループであるNA(Narcotics Anonymous)によるミーティングが全国各地で開催されています。 ここでは薬物依存症に陥った仲間同士で経験や力と希望などを分かち合うことで、問題から離れて生きていくための方法を模索すると言う作業がミーティングを通して行われています。




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