フェノバール





フェノバール
一般名:フェノバルビタール

フェノバールの効能

てんかんのけいれん発作[強直間代発作(全般けいれん発作、大発作)、焦点発作(ジャクソン型発作を含む)]、自律神経発作、精神運動発作。
不眠症、不安・緊張状態の鎮静。

フェノバールの概略

フェノバールはバルビツール酸系というカテゴリーに属する催眠・鎮静・抗けいれん剤です。精神神経科領域では、睡眠剤としてや、神経性の頭痛などに処方されることがあります。

フェノバールは我が国に於いて開発されたのは1943年、即ち第二次世界大戦中のことでありました。戦中の物資欠乏の中、研究者さん達の涙ぐましい努力の中、ようやく合成・量産化に成功した薬だといいますから、相当な歴史背景をもった薬です。

実際、世界で初めて開発されたバルビツール酸系の睡眠剤、バルビタールは1903年にお目見えしていますので、実にそれは100年以上前ということになります。

しかし、現在に於いて睡眠剤の主流はベンゾジアゼピン系といわれる系統に完全に移行しています。何故ならば、このフェノバールやベゲタミンなど、バルビツール酸系に属する薬には致命的な欠点があるからなのです。

それは、致死量が圧倒的に低いという点にほかなりません。バルビツール酸系の薬は、適応量のたった10倍程度の服用でも人間を死に至らしめると言われるほどに危険性をはらんだ薬なのです。

とにもかくにも不眠症などが行き過ぎた場合、医師はベンゾジアゼピン系の睡眠剤を数種類ブレンドしたり、それでもダメな場合には、強力な鎮静作用をもつ抗精神病薬であるレボトミンヒルナミンなどを更にブレンドして処方したりします。しかし、それでもダメな場合になってついにこの、フェノバールを渋々と処方する…というのが大体のセオリーであると言えるでしょう。

フェノバールは最終手段に限りなく近い薬であることがお解り頂けるのではないでしょうか?とにもかくにもこの薬は前述のような危険性があるので医師の立場に立ってみれば、かなり処方したくない薬であることには間違いありません。

しかし、これほどまでに致死量が低く、ハッキリ言って危険な薬がまだ製造されている理由もあります。それはズバリ、効くからです。



フェノバールの問題点・副作用

バルビツール酸系の薬の決定的な弱点は前述の通り「致死量の低さ」にありますが、更には依存性の強さや耐性形成という点に於いても弱点が存在します。

依存性の強さというものは文字通り、薬に体が依存してしまいやすいということです。つまり、フェノバール無しでは眠れなくなってしまうなどといった事態に陥りやすいのです。

また、耐性形成という点では、それは薬に体が慣れてしまい、今までの量では効かなくなってしまい、どんどん薬の量を増やさないと今まで通りの効果が得られなくなってしまうということを意味します。散々述べましたように、致死量の低さという見地から見ても、この薬は服用によって与える体、即ち臓器へのダメージはかなり高いものがありますので、これは決して良いことではありません。

また、副作用の面から見ていきますと、フェノバールの持つ副作用の中でも取り上げるべきものに、「禁断症状」というものがあるでしょう。これは先に述べました「耐性形成」の部分とダブる部分もありますが、これは長期連用している最中に急に薬を中止した場合、突如として強烈な不安感・不快感に襲われたり、黙って座っていることも出来なくなるといった症状です。

また、妊婦へ投与した場合には、それによって奇形児出産へと繋がるケースも否定できないようです。

フェノバールに対する私見

私も少しだけ服用したことがありますが、フェノバールはハッキリ言って効くと思います。ただし、服用後に怠さを感じる部分もありました。

しかし、効き目といった点に於いては、同じくバルビツール酸系に属するのベゲタミンの方が強いのかなと思いました。但しこれは、ベゲタミンのページをご覧頂ければ分かるかと思いますが、ベゲタミンの場合、これは複数の成分が配合された「配合剤」であるという点に起因しているかと思います。




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