レクサプロ

レクサプロ
成分(一般名):エスシタロプラム



レクサプロとは

レクサプロは2011年に我が国で発売された抗うつ剤で「選択的セロトニン再取込阻害薬(SSRI)」に分類されます。レクサプロは薬の効果も高い上に副作用が少ないという点が評価されており、実際、精神科や心療内科だけではなく、内科などでも処方されるケースもある「使いやすさ」「バランス」のよい抗うつ剤として処方例が増えている薬です。

レクサプロの他に、現在我が国に於いて認可されているSSRIには「パキシル」「ルボックスデプロメール」「ジェイゾロフト」 があり、レクサプロは国内4種類目のSSRIと言うことになります。

レクサプロの特徴

レクサプロの特徴ですが、レクサプロの属するSSRIと分類される抗うつ剤はセロトニン系と呼ばれる神経のみに働くという革新的特徴を持っていると言うことにはなっているのですが、 何だかんだでノルアドレナリンやドーパミンと言われる物質にも若干は作用していたのが実情だったのです。しかし、レクサプロはほぼセロトニン以外には働かないという点が大きな特徴となっています。 それは「余計なところには全く作用しない」と言うことになりますから、副作用が更に軽減されると言うことになるわけです。

また、レクサプロは半減期が24.6時間-27.7時間と半減期は抗うつ剤としてはかなり長い部類に入ります。半減期が長い、つまりはレクサプロは作用時間が非常に長い(レクサプロの作用時間は130時間とも言われている)ため、一日1回の服用で済みますし、半減期が長く体からゆっくり抜けることで離脱症状が起こりにくいというメリットもあります。

レクサプロの効果

レクサプロの特筆すべき点は即効性です。普通の抗うつ剤は最初は少量から開始し、副作用などの問題が起きないことを確かめながら 服用量を増やしていき、数週間かけて薬に効果が十分に発揮される量、即ち「治療用量」まで増量していくという処方の仕方を しますので、薬の効果が発揮されるまでにその分だけ時間がかかります。

しかし、レクサプロは最初に処方される10mgが「治療用量」なのです。 ですから、処方されたその日から「治療用量」の薬を服用出来ることになるのです。その分だけ効果を早く発現させることができるというわけです。

ですから、レクサプロはセロトニンにターゲットを完全に絞っているという点で効果も高いうえに、前述のように 余計な所に作用しない点で副作用も少なく、そして即効性まであると言う、服用する側にとっては美味しい要素を上手く兼ね備えているため、 世界では一番売れているSSRIとなっています。



レクサプロの副作用

レクサプロは、副作用が少ない点がウリなのですが、もちろん、副作用がゼロではありません。 一番起こりやすい副作用は、吐き気です。これは人によりますが、2週間程度で治まると言われています。しかし、ずっと吐き気が続いてしまう場合もあります。 そんな場合は同時に吐き気止めを処方されるケースもありますし、レクサプロの中止が必要な場合もあります。いずれにせよ医師に相談して対策を考えてもらうのが得策と言えるでしょう。

レクサプロを服用するようになってから、太る、即ち体重増加が起きたという話をたまに耳にします。 確かに一理あるようです。レクサプロをはじめとする抗うつ剤には、ヒスタミンをブロックする作用が認められます。ヒスタミンは食欲を抑える働きがありますから、それがブロックされればどうしても食欲が増し、食べ過ぎてしまい、結果的に体重が増加してしまうと言うわけです。 また、ヒスタミンがブロックされることで眠気まで引き起こされます。アレルギーなどの際に出されるアレロックですとかアレグラ、タリオンなどの薬を服用して眠気に襲われた経験のある方も多いかと思いますが、これらの類の薬はまさにヒスタミンに働きかける薬ですから、レクサプロを服用するとこれと似たことが起こるわけです。太るとか眠気と言った副作用は抗うつ剤を服用してる分にはある程度やむを得ない部分もあります。しかし、レクサプロの抗ヒスタミン作用は、抗うつ剤の中でも低い部類に入ります。つまりはレクサプロは抗鬱剤の中では太りにくい薬です。 鬱病になると、どうしても活動量が低下し運動不足や食べ過ぎに陥りがちですから、レクサプロの眠気のせいでゴロゴロした結果太るということもあり得ますが、鬱病そのものがその原因であるケースも多いようです。

我が国でのレクサプロ処方は始まったばかりですので、バックデータがこれまでの薬よりも少ない部分がありますから、まだこれからも新たな副作用が報告される可能性もあり得ます。

レクサプロの薬価

レクサプロの薬価は、10mg錠が218.1円です。「早く良く効き、副作用も少ない分だけお値段は張りますよ」レクサプロはそんな薬です。レクサプロの処方を受けた時の薬代の高さにびっくりしました。レクサプロは新薬ですからジェネリック品は未発売で、患者にかかる負担が大きい状態がしばらく続くものと思われます。

レクサプロへの私見

私がレクサプロを処方してもらい、服用して実際に感じたところは「心の安らぎ」でした。セロトニンを増やすことで理論上では不安に対する効果があるとは言われているのですが、まさにそれを実感。不安事だらけで、そわそわしていていた心が落ち着くと言った効き方をしました。 しかし、レクサプロでテンションが上がるとかやる気が出るとか、そういったことはありませんでしたし、何よりもレクサプロで悩まされたのが眠気です。レクサプロを飲んで心は落ち着きましたが、どうも眠い。 レクサプロは抗うつ剤の中では眠気を引き起こしにくく、眠気よりもどちらかと言うと不眠の副作用を訴える患者が多い薬と言われているのですが、自分の場合は不眠の逆である眠気がなぜか強く出る結果になり、服用を中止しました。また、レクサプロの副作用の吐き気にも悩ませられました。レクサプロを服用してからどうも胃から何かがこみ上げてくるという感覚に襲われ、それが小一時間続くといった状態が1か月ほど続いたのもレクサプロ中止の要因でした。 しかし、レクサプロが心の安らぎを与えてくれるのは確かで鬱の中でも不安に駆られるタイプの患者への効果は大きいなかなと言うのが私の感想です。何よりもレクサプロの登場でまた、抗うつ剤の選択肢が増えたことは喜ばしい限りです。




戻る