アナフラニール

アナフラニール
成分(一般名) : 塩酸クロミプラミン



アナフラニールの特徴

アナフラニールは名実ともに代表的な「抗うつ剤」です。第一世代の三環系抗うつ剤と呼ばれ 1973年に我が国では認可されました。

アナフラニールは、最近のSSRIやSNRIなどの新しい抗うつ剤の発売によって、段々とその影が薄くなりつつありますが、長年使われてきたということもあってバックデータが多く、確かな薬の効果が確立されていることもあって、現在でも処方され続けています。

アナフラニールはノルアドレナリンやセロトニンという脳内の神経伝達物質を増やし、神経の働きをよくするという働きをします。特に、アナフラニールはセロトニンに対して強力に作用するタイプのクスリです。セロトニンが増えることで心のバランスが整い、安らぎを感じるようになると言われています。つまりはアナフラニールは不安に対して特に有効とされています。

アナフラニールには10mg錠と25mg錠、そして注射液という規格があります。アナフラニールは、点滴で投与出来る唯一の抗うつ剤です。精神科に緊急搬送されてきたばかりの患者さんなどは薬を飲みたがらなかったり、混乱が酷い状態におかれていたりなどするケースが多々ありますが、こんな時に点滴できる唯一の抗うつ剤アナフラニールは重宝されています。患者を何とか押さえつけてジプレキサなどの強力な向精神薬を飲ませて落ち着かせた後にアナフラニールの点滴を施したら、容態が著しく改善したと言ったケースを聞いたことがあります。

アナフラニールは強迫性障害にもとても有効とされており、実際、アメリカではアナフラニールは抗鬱剤としての認可を受けておらず、強迫性障害のクスリとして認可されています。

アナフラニールの作用は強力で、抑うつ気分や悲哀感といった症状に「気分を高揚させる」と言った方向にも良く効くうえに、前述のように、セロトニンを増やす作用が特に強い、すなわち抗不安作用が非常に強いので、前述のような強迫性障害に加えてパニック障害にも効果を発揮すると言われています。

また、ナルコレプシーの情動脱力発作(ナルコレプシーでは、怒り、驚き、喜びなどの強い感情の動きによって、抗重力筋が突然脱力するという発作を引き起こし、突然体の力が抜けてしまって倒れてしまう場合もあります。)にもアナフラニールは有効だとされています。

冒頭に申し上げましたように、近年になってSSRI等といった新しいタイプの抗鬱剤が続々と発売されていますが、上記の通り、アナフラニールは様々な症状に有効であるため、この先も当分は使われ続けていくかと思われます。

アナフラニールを含む向精神薬は一般的には、服用後に眠気を催したり、 注意力が散漫になりがちになってしまいがちなので、車の運転や機械の操作をする場合は服用しない方が無難なようです。



アナフラニールの副作用

アナフラニールは太る薬であるという話をたまに耳にします。 確かに一理あるようです。アナフラニールをはじめとする抗うつ剤には、ヒスタミンをブロックする作用が認められます。 ヒスタミンは食欲を抑える働きがありますから、それがブロックされれば、どうしても食欲が増し、食べ過ぎてしまい、結果的に体重が増加してしまうと言うわけです。 抗うつ剤を服用してる分にはある程度太るというのはやむを得ない部分もあります。アナフラニールの抗ヒスタミン作用は、抗うつ剤の中でも比較的高い部類に入ります。

アナフラニールは何分古いクスリですので、便秘をしてしまったり、手の震えが発生したり、立ちくらみが起きたり、尿が出にくくなるといった副作用もたくさんあるのがアナフラニールの欠点です。

また、アナフラニールの大きな欠点は、服用のしすぎで死を招くという点です。とにもかくにも三環系抗うつ剤の大きな弱点は、致死量が非常に低いレベルにあるという点、つまりは服薬自殺に使われやすいと言うことです。

ですから、自殺願望が強い方などはアナフラニールの管理を信頼できる別の人に頼んだ方が良いと思われます。

アナフラニールへの私見

アナフラニールを飲んで「頭の中の霧が晴れていく〜」という感覚を覚え、アナフラニールの強力さを実感したのですが、 手が震えたり、尿が出ないといった副作用に大変苦しみまして、ルジオミールにクスリが変更になったということがありました。

しかし、そうしたら今度は鬱状態がひどくなりました。アナフラニールの強力さを実感した出来事でした。

ちなみに、このアナフラニールを始めとする抗鬱剤は鬱などの症状を和らげてくれる働きをしますが、病気そのものを治す力はありません。 よって、症状が落ち着いてきてから、周りの環境などを調整するなどして自分にとって過ごしやすい環境を作り出すことも大切です。

アナフラニールの効能

* 精神科領域におけるうつ病・うつ状態 * 遺尿症

アナフラニールの用法・用量

【10mg錠】

* 精神科領域におけるうつ病・うつ状態には、通常成人は1日5〜10錠を1〜3回に分割服用する。ただし、症状により適宜増減するが、1日最高量は22錠までとする。

* 遺尿症には、通常、6歳未満の幼児は1日1〜2錠を、また6歳以上の学童は1日2〜5錠を1〜2回に分割服用する。ただし、症状及び年齢により適宜増減する。

【25mg錠】

* 精神科領域におけるうつ病・うつ状態には、通常成人は1日2〜4錠を1〜3回に分割服用する。ただし、症状により適宜増減するが、1日最高量は9錠までとする。

* 遺尿症には、通常、6歳未満の幼児は1日1錠を、また6歳以上の学童は1日1〜2錠を1〜2回に分割服用する。ただし、症状及び年齢により適宜増減する。




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